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導入事例

鹿児島県肝付町

自治体向け Google ソリューションの全面導入によりセキュアな運営をフルクラウドで実現

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本土最南端の大隅半島の南東部に位置し、2005 年に高山町と内之浦町の合併によって肝付町として誕生。旧高山町役場に庁舎機能を集約し、町政運営を行う。総面積 308 平方キロメートルの広大な地域は 8 割以上を林野が占め、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のロケット打ち上げ場である内之浦宇宙空間観測所があることでも有名。また、約 900 年続いている高山流鏑馬(こうやまやぶさめ)も行われており、伝統と最先端の技術が融合する町である。

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自治体向け Google ソリューションの全面導入によりセキュアな運営をフルクラウドで実現

導入効果

地域に出て行ける環境を整え、職員の働き方に変革を起こす

• 無害化プロセスによりフルクラウド化を実現。いつでもどこでもテレワークが可能に

• 多彩なアプリケーションによりアイデアを簡単に形に。庁内の業務効率化を促進

• 地域のリソースとの組み合わせで、遠隔地にも行政サービスを低コストで提供

東洋のフロリダと呼ばれる美しい海岸とロケット打ち上げ場があることで知られる鹿児島県肝付(きもつき)町(以下、肝付町)。約 14,000 人が暮らすこの町では、他の自治体と同じく、人口減少や少子高齢化といった地域課題を抱えています。そこで同町は、行政サービスを町の隅々まで届け、地域の暮らしの質を守ることを目的に Google Workspace はじめとする Google Cloud のサービス、そして Chromebook を全庁に導入。フル Google ソリューションを全庁で導入した全国初の取り組みについて、背景や効果を導入担当者に伺いました。

人口減少、人手不足をカバーすべく IT インフラの刷新に注力

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「町民へのサービスをより便利にしながら、運用のコストを下げ、しかも職員がより働きやすい環境を作れる Google のソリューションはまさに理想的でした。」鹿児島県肝付町 デジタル推進課 課長補佐 中窪 悟 氏

九州南部に位置する大隅半島にあり、太平洋に面する肝付町は、高山町と内之浦町が合併し 2005 年に誕生。総面積 308 平方キロメートルと福岡市に迫る広さがありながら、人口は約 14,000 人と少なく、町民の生活拠点が点在しています。そのため、行政サービスを町民ひとり一人にどのように提供していくのかが長年の課題でした。

早くから IT インフラの整備をすすめてきた同町ですが、あらたに直面した課題について、デジタル推進課 課長補佐 中窪 悟氏は次のように話します。

「肝付町では、10 年前に仮想化基盤をオンプレミスで構築し、総務省が定める "三層の対策"(※)に基づきながら、データの標準化と集約に取り組んできました。しかし、人口減少、役場の人手不足が進み、さらに情報化によって職員が扱う情報量も格段に増加。IT インフラを刷新する必要が出てきました。」

特に問題だったのが、職員の働く場所が端末のある場所に縛られていたこと。VPN による従来のシステムでは扱える情報も限られ、移動や端末管理に無駄なコストがかかっていました。また、町民にとっても不便が多く、役場を訪れるのが難しい高齢者への対応は解決すべき大きな課題のひとつでした。そこで同町はデジタル推進課を設立し業務システムの改善に着手。選ばれたのが フル Google ソリューションでした。

きっかけは、総務省による "三層の対策" の見直しにあります。セキュリティ対策の観点から庁内ネットワークとインターネットを分離する従来の「α モデル」に対して、セキュリティの脅威を排除する「無害化」を施すことで、自治体の庁内ネットワークとインターネットの接続を認める「β モデル」が認められることになりました。 

「他の自治体に比べて早くから人口減少が課題としてあった肝付町では、"積極的に地域へ出て行ける町民窓口" は以前から模索していたこと。β モデルでフルクラウド化することができれば、その実現に大きく近づきます。町民へのサービスをより便利にしながら、運用のコストを下げ、しかも職員がより働きやすい環境を作れる Google のソリューションはまさに理想的でした。」(中窪氏)

※ 三層の対策: 機密性の高い情報を扱う庁内ネットワークと外部インターネットを分離するセキュリティ方式

※ 三層の対策: 機密性の高い情報を扱う庁内ネットワークと外部インターネットを分離するセキュリティ方式

ひとつずつ検証を重ね、フル Google ソリューションの全庁導入を実現

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「特に感じている変化は、レスポンスが早くなったこと。ひとつの資料を共有しながらコメントを入れたり、編集することで、業務にスピード感が生まれました。」鹿児島県肝付町 デジタル推進課 主幹 一松 陽介 氏

肝付町では、2021 年から本格的に Google Workspace の導入を検討、国のガイドラインを参考に無害化を実現し、職員の利用端末として Chromebook とともに 350 アカウントを導入しました。また、インターネット環境から庁内のシステムにセキュアにアクセスする手段として Beyondcorp Enterprise を採用しています。自治体において、フル Google ソリューションによる全庁導入は全国初の事例。前例がない中で、どのように導入を決めたのでしょうか。

「従来の業務をこなすだけなら、既存のオンプレミスの仮想化基盤に接続ができれば問題ないため、技術的な不安はありませんでした。むしろ一番の懸念点は実際に使う職員がどう感じるかというところ。80 人ほどの規模で検証を進め、一つひとつの課題を確認していくことで、管理者、ユーザーともに、これなら大丈夫という確信を得ることができました。特に大きな問題が出てくることもなく、スムーズに導入を進めることができました。」(中窪氏)

職員に受け入れられやすかった理由として、デジタル推進課 主事の野頭 李央氏は、UI の親しみやすさを挙げます。

「そもそも Google のサービスはプライベートで利用している職員が多いですから、直感的に操作することができるのは導入の障壁を下げるという意味でも大きなメリットだと感じています。個人的にも UI は好印象で、業務でも違和感なく使うことができています。もちろん、人によって理解度には差があります。そういった時には、実際に操作を見せながら、最後まで寄り添うことを心掛けています。」(野頭氏)

導入完了後、庁内では徐々に Google Workspace のコラボレーション ツールの活用が進んでいます。

「特に感じている変化は、レスポンスが早くなったことです。例えば、これまで会議では資料を印刷して参加者に配っていましたが、1 つの資料を共有しながらコメントを入れたり、編集することで、業務にスピード感が生まれました。共同編集は職員の間でも評判が良いですね。」(デジタル推進係長 一松 陽介氏)

また、Google Workspace の導入に際して電子機器の取り扱いに関する条例を変更したことで、議会にも Chromebook を持ち込めるようになりました。こうした一つひとつの変化が、庁内での理解と浸透を促進していると中窪氏は言います。

「これまでの議会では大量の紙の束を抱えて答弁に臨むため、1 つの質問に答えるにも 4〜5 人の手が必要でしたが、今はクラウド上に必要な資料がすべてそろっています。2 人ほどで対応できるようになり、人員の削減とペーパーレスに役立っています。こうした便利さを私たちが周りにアピールしていくことも、活用を進める上では大切なこと。中には Google AppSheet を独学で学びアプリを作ったという職員も出てきていて、少しずつ活用のシーンが広がっているのを実感しています。」(中窪氏)

医療や教育と連携し、より良い行政サービスを提供

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「町が抱える課題に対して、自分たちの働き方も変えながら、どんなサービスで応えていくのか。これからの未来を担う庁内の若い世代とともに、しっかりと取り組んでいきたいと思います。」鹿児島県肝付町 デジタル推進課 課長 小森 勝洋 氏

さらに、町役場の外での活用も積極的に進めています。高齢化が進む肝付町では、最も若い人が 80 歳代という集落も存在します。そういった場所にも、Google Workspace と地域のリソースを組み合わせることで、行政サービスを届けることが可能になりました。

「いち早く取り組んできたのが、地域住民の健康や生活の補助を行う地域包括支援センターとの連携です。保健師が訪問先へ持参した Chromebook から、Google Meet を通じてご家族と医療、介護サービスの方をつなぐ家族会議を行った例では、大きな可能性を感じました。Google Workspace / Chromebook の良いところは、こういったアイデアを簡単なツールで実現できること。新しいツールの活用に積極的な職員が課に 1 人いるだけで、庁内での横展開が自然と進んでいきます。この便利さを経験すると、もう従来のツールには戻れませんね。」(中窪氏)

今後は医療だけでなく、教育との情報連携なども控えているという肝付町。「より便利なサービスを提供することができると期待しています」と、デジタル推進課 課長 小森 勝洋氏は言います。

「高齢者人口の割合が最大になるといわれる 2040 年を見据え、今後、役場がどんどん外へ出て行くための鍵は、役場と地域のリソースをどう組み合わせていくか。その点、Google Workspace には大きな可能性があると感じています。町が抱える課題に対して、自分たちの働き方も変えながら、どんなサービスで応えていくのか。これからの未来を担う庁内の若い世代とともに、しっかりと取り組んでいきたいと思います。」

※ Google Workspace は、2020年10月6日以前は G Suite として知られていました。